精神科訪問看護ってなに?対象疾患、看護内容、算定要件まとめ

精神科の訪問看護について、

  • 精神科の訪問看護ってなに?
  • どんな人が利用しているの?
  • 具体的な看護内容は?

このように様々な疑問があると思います。

最近は、精神科を専門としている訪問看護ステーションがありますので、通常の訪問看護との違いも気になるかもしれません。

今回は、これらの疑問をすべて解消するために、精神科の訪問看護について詳しくご紹介して行きます。

1. 精神科訪問看護ってなに?

1-2. 精神科訪問看護の利用者数

 

出展:厚生労働省

厚生労働省の資料をみても明らかなように、精神科訪問看護の利用者数は年々増加しています。

1-3. 訪問看護が対象となる精神疾患とは?

精神科訪問看護の対象者は「精神疾患のある利用者と家族」とされています。ただし、認知症は該当しないので注意してください。

特に、次のような疾患の利用割合が多くなっています。

  • 統合失調症
  • 妄想性障害
  • 気分(感情)障害
  • アルコールや薬物による精神及び行動の障害

・精神科重症者早期集中支援管理料とは

認知症は精神科訪問看護の対象にはならないとお伝えしましたが、精神科重症者早期集中支援管理料の算定要件を満たす場合には該当します。

これは、長期入院や入退院を繰り返す方に対して、24時間体制での支援を行い地域移行を推進するために新設されたものです。

算定要件は以下のようになり、

訪問診療を月1回以上及び精神科訪問看護を週2回以上(うち月1回以上は精神保健福祉士又は作業療法士が訪問)実施している患者に対し、退院した日から起算して6月以内の期間に限り算定する。

引用:厚生労働省

次のすべてに該当する方が対象となります。

  1. 1年以上精神病床に入院して退院した者又は入退院を繰り返す者。
  2. 統合失調症、気分障害又は重度認知症の患者で、退院時のGAF40以下の者。
  3. 精神科を標榜する保険医療機関への通院が困難な者。
  4. 障害福祉サービスを利用していない者。

引用:厚生労働省

また、以下の施設基準を満たし届出を出している医療機関のみが算定できます。

  1. 常勤精神保健指定医、常勤看護師又は常勤保健師、常勤精神保健福祉士及び常勤作業療法士の4名から構成される専任のチームが設置されていること(いずれか1人は専従)。
  2. 上記4人を含む多職種会議を週1回以上開催(月1回以上は保健所又は精神保健福祉センター等と共同)すること。
  3. 24時間往診及び看護師又は保健師による精神科訪問看護が可能な体制を確保していること。
  4. 地域の精神科救急医療体制の確保に協力等を行っていること。

引用:厚生労働省

1-4. 精神科専門の訪問看護ステーション

ここまでお伝えしたように、利用者数の増加や、症状が不安定な方への積極的な地域移行を推進していることから、精神科訪問看護の需要が高まっています。

特に、最近では精神科を専門とする訪問看護ステーションも増えています。

1-5. 精神科の訪問看護と通常の訪問看護の違い

精神科専門の訪問看護ステーションがあるように、制度上も通常の訪問看護との違いがあります。

・精神疾患のある利用者と「家族」が対象

通常の訪問看護においても、ご利用者さまとご家族さまへの支援は重要な役割です。精神疾患においてはより慎重な対応が必要となりますので、その対象者が「家族」にまで拡大されています。

・精神科訪問看護指示書

訪問看護の利用に際しては医師からの指示書が必要になりますが、精神科訪問看護が必要とされる場合には「精神科訪問看護指示書」が必要になります。

その際には、精神科を標榜する医療機関の医師から交付を受けると決められています。

・精神科訪問看護基本療養費

精神科訪問看護指示書によって提供される訪問看護は、精神科訪問看護基本療養費として算定されます。

通常の訪問看護の場合は、訪問看護基本療養費です。詳しい点数や算定要件については、後述しているQ&Aを確認してください。

2. 精神科訪問看護の看護内容を詳しく教えて!

精神科訪問看護においてもご利用者さまとご家族さまの生活を支えるケアマネジメントと、具体的な看護ケアが必要です。

その詳細については、厚生労働省の補助金を受けて実施された研究の「精神科訪問看護のケア内容と効果に関する研究」の結果が参考になります。

ケアマネジメントにおいては、以下の内容の実施率が高くなっていました。

  • ご利用者さまとご家族さまとの関係づくり
  • アセスメントの実施
  • ケア導入に向けた本人への働きかけ

具体的な看護ケアについては、

  • 身体症状の観察と対処
  • 服薬行動援助
  • コミュニケーション援助

これらの項目の実施率が高くなっていました。

3. 訪問看護と精神科に関するQ&A

Q. 精神科の訪問看護には資格が必要?

A. 特別な資格は不要です。

看護師免許があれば精神科訪問看護の提供は可能です。

以下のような認定制度もありますので、知識と技術のスキルアップをしたり、地域医療の中心となって活躍したいといった場合には検討してみるといいでしょう。

  • 日本精神科看護協会による精神科認定看護師制度
  • 日本看護協会による認定看護師制度(訪問看護、認知症の分野あり)

Q. 医療保険と介護保険はどちらを使うの?

A. 医療保険を利用します。

2014年(平成26年)の診療報酬制度改定によって、医療保険の適応となりました。介護保険の対象となる方でも、精神科訪問看護指示書による利用は医療保険の対象です。

自立支援医療費(精神通院医療)制度とは?

精神疾患(てんかんを含む)による通院医療費の自己負担を軽減するもので、1割負担になります。

こちらの制度は訪問看護の利用費用も対象になっています。

Q. 精神科訪問看護の点数や算定要件は?

A. 精神科訪問看護算定ガイドが役立ちます

全国訪問看護事業協会が作成していますので、こちらを参考にしてください。ホームページより確認することができます。

全国訪問看護協会「精神科訪問看護算定ガイド

Q. おすすめの精神科の訪問看護研修はある?

A. 日本精神科看護協会や全国訪問看護事業協会などをチェックしてみましょう。

4. 精神科訪問看護のまとめ

精神科訪問看護の需要は年々高まり、精神科を専門とする訪問看護ステーションもみられるようになりました。

長期入院や入退院を繰り返す方の地域、在宅での生活を支援するために精神科重症者早期集中支援管理料が新設されるなど、訪問看護師の役割が重要とされ、活躍の場も広がっています。

今回の記事で、精神科訪問看護の疑問が解消できていれば幸いです。