訪問看護ステーション利用者数の推移と今後の動向

近年、訪問看護に注目が集まっています。なぜなら日本が抱える高齢化問題や在院日数の短縮などにより、在宅における医療や看護、介護が必要な方が増加しているからです。

ただ、そのことを漠然とは理解していても、具体的な利用者数やその特徴などは知らない方が多くいらっしゃいます。

そこで今回は、訪問看護の利用者数について詳しくご紹介していきます。これまでの利用者数の推移や今後の動向もふまえてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

1. 訪問看護の利用者数

1-1. 利用者の総数

訪問看護は、介護保険と医療保険での利用がありますが、こちらのグラフは両者の総数になります。その数は、平成28年には58万人以上となり、10年前と比較するとおよそ30万人の増加になっています。

1-2. 年齢階級別の利用者数

上のグラフは、平成28における利用者数を年齢階級別に分けたものになります。これを見ると、0歳から90歳以上の高齢者まで訪問看護を利用していることがわかります。

その中でも65歳以上の高齢者の利用者数は、およそ47万7千人となり全体の81%を占めている計算になります。

1-3. 介護保険を利用した利用者数

訪問看護利用者のうち介護保険を利用している方は41万人以上となり、全体の70%を占めています。(平成28年)高齢者の利用が多いことを考えれば当然なのですが、日本が抱えている高齢化問題や今後の地域医療の重要性、訪問看護の役割を考える上でも重要な数字になってきます。その詳細についてもこの後お伝えしていきます。

1-4. 医療保険を利用した利用者数

医療保険での利用者は全体の3割となり、介護保険利用者と比べると少なくなっています。ただし、上のグラフをみてもわかるように年々増加しています。これは、訪問看護を利用する方の特徴に変化がみられるようになったからです。つまり、医療依存度の高い方や介護保険の対象とならない若年者の利用も増えているということです。その詳細についてもこの後お伝えしていきますので、ぜひチェックしてください。

2. 訪問看護利用者数の推移と増加する理由

2-1. 訪問看護利用者の推移

ここまでお伝えしてきたように、訪問看護の利用者は近年増加しています。

その詳細を確認すると高齢者の割合が多いため、訪問看護といえば高齢者が対象となると思われがちです。しかし、実際には介護保険対象外の若年者も増加しているのです。これは、医療保険での利用者も増加していることからもわかります。中には、赤ちゃんや小児の利用もあるのです。

つまり、年齢、疾患に関わらず訪問看護の利用者数は年々増加しているということです。

2-2. 訪問看護利用者が増加する理由

では、なぜ訪問看護の利用者数が増加しているのでしょうか。その理由としては、主に次の2つが考えられます。

  • 高齢者が増加する日本の社会的背景
  • 医療依存度の高い方に対する地域医療の変化

それぞれわかりやすくお伝えします。

・高齢者が増加する日本の社会的背景

一つ目の理由としては、高齢者の増加が挙げられます。

わかりやすい例で言えば2025年問題です。2025年とは、人口の5%以上を占める団塊の世代の方々が後期高齢者、つまり75歳以上になる年です。さらに少子化の影響もあり、5人に1人が75歳以上になるため、介護・医療費の急増が心配されています。これが2025年問題です。

超高齢化の進む日本が置かれているこうした状況から、訪問看護の利用者数が年々増加しているのです。

・医療依存度の高い方に対する地域医療の変化

二つ目の理由としては、在院日数の短縮などにより、在宅で生活する医療依存度の高い方が増えていることが挙げられます。

訪問看護や地域医療と聞くと、老人介護というイメージを持たれている方も多くいらっしゃいます。しかし、実際には医療保険での利用者が増加しているように、介護保険の適応とならない若年者の利用が増えています。これは、成人だけではなく、小児や赤ちゃんも含まれています。

また、こうした利用者の特徴として、医療依存度の高い方が多いということがあります。例えば、在宅人工呼吸指導管理料の算定回数の推移は次のようになっています。

平成18年から比べると、10年間で3倍以上の増加です。このように、在院日数の短縮などの背景もあり、幅広い年齢、かつ医療依存度の高い方が在宅で生活をされていることがわかります。そのため、在宅でも医療処置が必要となり、訪問看護の利用者が増加しているのです。

3. 訪問看護利用者の今後の動向

厚生労働協会の調査によると、現在訪問看護を利用している方の数と比べて、訪問看護の利用が必要な状態でも、実際には利用していない、もしくは利用できていない方が1.8倍も存在しているといいます。

また、日本看護協会による推計では、2020年には訪問看護の利用者が100万人になるとされています。2016年(平成28年)の利用者数はおよそ59万人ですので、今後数年で2倍近く増加することになります。

4. 「訪問看護の利用者数」まとめ

訪問看護の利用者数は年々増加し、平成28年にはおよそ59万人にも増えました。

その特徴をまとめると、次のようになります。

  • 高齢者の利用者数が増加
  • 医療依存度の高い利用者数の増加
  • 今後も急激な増加が見込まれている

超高齢化や在院日数の短縮などを考えても、今後訪問看護の利用者数が増加することは容易に予測でき、それに合わせて訪問看護師や在宅医療、地域医療の必要性が高まっています。