訪問看護を医療保険で利用できる対象者と疾患をわかりやすくご紹介

訪問看護を利用する場合には、介護保険もしくは医療保険を使うことが基本になります。ただ、どのような方が対象となるのかよく分からないという方がいらっしゃいます。

特に、医療保険を利用する際の対象者について分からないという方が多いでしょう。なぜなら、訪問看護の発展や認知度は、介護保険の始まりと共に進んでいるからです。訪問看護は高齢者、つまり介護保険対象者へのサービスだと理解している方も少なくありません。

しかし、介護保険対象者ではないけど、訪問看護を使いたいという方もいらっしゃいます。例えば、65歳以下で何らかの疾患や症状を抱えている方や、最近では小児患者さんからの訪問看護に対する要望が高まっています。

そこで今回は、訪問看護を医療保険で利用する場合の対象者について詳しくご紹介していきます。

ただ、その対象者については細かく定められた条件がありますので、全て覚える必要はありません。まずは、今回の記事で全体像を理解していただき、実際に対象者となる方がいらっしゃる場合には、その都度こちらの記事を読み返して確認していただけるといいでしょう。

それでは、早速確認していきましょう。

訪問看護を医療保険で利用できる対象者・対象疾患とは

まず初めに、介護保険対象者の場合には、介護保険を利用して訪問看護サービスを受けることが基本になります。

この前提を踏まえた上で、医療保険対象者となる方は、次の3つに当てはまる方になります。

  1. 介護保険の対象外の方
  2. 厚生労働大臣が定める疾病等に該当する方
  3. 医師からの特別訪問看護指示書がある場合

ただし、一部の例外がありますので注意が必要です。例外も含めて、その詳細を確認していきましょう。

1. 介護保険対象外の方

まず、介護保険の対象となる方は、次の2つがあります。

  • 65歳以上の方
  • 40歳以上65歳未満で介護保険2号被保険者の特定疾病のある方

これに当てはまらない方が医療保険を利用して訪問看護サービスを受けることになります。

わかりやすくすると、次のような方が医療保険の対象者となります。

  • 0歳〜64歳の方
  • 介護保険2号被保険者に当てはまらない方

つまり、介護保険、もしくは2号被保険者に当てはまらない全ての方が、医療保険を利用した訪問看護サービスを受けることができるということになります。

ここで、介護保険2号被保険者についても詳しく確認しておきましょう。

1-1. 介護保険2号被保険者の特定疾病とは

介護保険には、1号被保険者と2号被保険者の2つがあります。

1号被保険者とは、65歳以上の方になります。一般的に介護保険と言われる時には、こちらの1号被保険者を指すことが多くなります。

一方で、2号被保険者とは、「40歳以上65歳未満で介護保険2号被保険者の特定疾病のある方」のことです。

ここで言う特定疾病とは次のような疾患のことになります。

  1. 末期のがん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老病
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害 糖尿病性腎症 糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

これらの疾患に当てはまる40歳以上65歳未満の方は、2号被保険者として介護保険を利用した訪問看護サービスを受けることになります。

ただし、例外もあります。

1-2. 介護保険と医療保険の優先順位とは

介護保険対象者であっても、医療保険を使った訪問看護が優先されることがあります。

それは、次の2つの場合です。

  • 「厚生労働大臣が定める疾患等」に該当する方
  • 「特別訪問看護指示書」がある方

介護保険対象者の場合であっても、この2つのどちらかに該当する場合は医療保険を利用することになります。

なんだか混乱してしまったかもしれませんが、最後にわかりやすくまとめてお伝えしますので、まずは安心して読み進めてください。

2. 「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する方

「厚生労働大臣が定める疾病等」に当てはまる場合には、介護保険対象者であっても、医療保険で訪問看護を利用することになります。

厚生労働大臣が定める疾病等とは、次のようなものです。

  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 多発性硬化症
  3. 重症筋無力症
  4. スモン
  5. 筋萎縮性側索硬化症
  6. 脊髄小脳変性症
  7. ハンチントン病
  8. 進行性筋ジストロフィー症
  9. パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)
  10. 多系統萎縮症(線条体黒質変性症,オリーブ矯小脳萎縮症 及びシャイ・ドレーガー症候群
  11. プリオン病
  12. 亜急性硬化性全脳炎
  13. ライソーゾーム病
  14. 副腎白質ジストロフィー
  15. 脊髄性筋委縮症
  16. 球脊髄性筋委縮症
  17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  18. 後天性免疫不全症候群
  19. 頸髄損傷
  20. 人工呼吸器を使用している状態

3. 医師からの特別訪問看護指示書がある場合

訪問看護を提供するためには、医療保険、介護保険のどちらの場合であっても医師からの「訪問看護指示書」が必要になります。

またこれとは別に、「特別訪問看護指示書」というものがあります。これは、訪問看護指示書を受けて訪問看護を提供している方の、急性憎悪、終末期、退院直後などに出されるものです。つまり、通常の訪問看護よりも、頻回な訪問や支援が必要とされる状態のときに出されるものになります。

この特別訪問看護指示書の期間は、医療保険を使って訪問看護を受けることになります。

例えば、すでに介護保険を利用して訪問看護を受けていたとしても、この特別訪問看護指示書が出ている期間は、医療保険を使うということです。そして、その期間が終了すれば介護保険の利用に戻ります。

3-1. 特別訪問看護指示書の有効期間とは

特別訪問看護指示書の有効期間は14日間で、原則として月に1度のみ発行可です。

ただし、例外として以下のような場合には、月に2回の交付が認められています。

  • 気管カニューレを使用している人
  • 真皮を超える褥瘡のある人

特別訪問看護指示書が出ている場合には、その期間についてしっかりと確認しておく必要があります。

結局どっち?医療保険と介護保険を利用した訪問看護の見分け方

ここまで医療保険を使った訪問看護サービス対象者について詳しくお伝えしてきましたが、結局のところ、医療保険なのか介護保険なのかよく分からない方も多いと思います。

そこでこの2つを見分けるための方法をご紹介します。この順番で確認していただければ、特に難しくもありませんので安心してください。

ステップ1:介護保険対象者か(2号被保険者を含む)

まず、介護保険対象者(2号被保険者を含む)か確認しましょう。介護保険対象者の場合には、基本的に介護保険を利用することになります。

ただし、2つの例外がありますので、次のステップに進んでください。

また、介護保険対象者ではない場合には、医療保険を利用することになりますので、次のステップに進む必要はありません。

ステップ2:「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当するか

介護保険対象者であっても、「厚生労働大臣の定め疾病等」に該当する方は、医療保険を利用することになります。

ステップ3:医師からの特別訪問看護指示書があるか

すでに介護保険を利用して訪問看護を受けている場合でも、医師からの「特別訪問看護指示書」が出ている期間については、医療保険を利用することになります。

この期間が終了すれば、介護保険に切り替わります。

まとめ

今回は、医療保険を使った訪問看護サービスを受けることができる対象者や対象疾患についてお伝えしてきました。

ただ、初めての方はよく分からなかったのではないでしょうか。そんな場合は、もう一度フローチャートを見直してみてください。

介護保険対象者の方は、基本的には介護保険を利用します。ただし、例外とし医療保険が適用される場合がありますので、その例外に当てはまるかどうかを確認することになります。

また、介護保険対象外の方の場合には、年齢に関わらず医療保険適用となります。

このポイントがわかれば簡単になりますので、困った時にはこの記事をもう一度確認していただけるといいのではないでしょうか。