訪問看護と難病|利用条件や助成制度を詳しく!

訪問看護を利用している利用者が抱える疾患やニーズは多岐に渡ります。その中に難病があり、訪問看護の利用がライフラインの一つになっています。在宅で安心して過ごすためには、高度な医療処置が必要になるからです。

しかし、保険制度や助成制度などが複雑に絡み合っているため、訪問看護を利用する方も、サービスを提供する側も混乱してしまうことがよくあります。

そこで今回は、訪問看護と難病について詳しくお伝えしていきます。できるかぎりわかりやすく、そしてシンプルにまとめていますので、安心して読み進めてください。

1. 訪問看護を利用する難病患者さまの現状

1-1. 難病の利用者が増加

難病、がん、小児の利用者が増加し、利用者のニーズは多様化している。

引用:厚生労働省

訪問看護の利用者は毎年のように増加しており、厚生労働省の資料にもある通り、難病の利用者も増加しています。

1-2. 医療依存度の高い方が訪問看護を利用するようになった

出典:厚生労働省

こちらのグラフも厚生労働省の資料になりますが、2006年の時点で重度な医療的処置が必要となる利用者が40%近くを占めるようになっています。近年、こうした流れはますます強くなっているのが特徴です。

これは、難病の方が訪問看護を利用することが増えていることが一つの要因となっています。例えば人工呼吸器の管理や中心静脈栄養などの処置が必要になるからです。

訪問看護と聞くと、介護保険を利用する高齢者の介護サービスというイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。しかし、在宅で生活されている方の中には、病院で行われているような高度な医療処置や看護を必要とされる方が多くいらっしゃるのです。

1-3. 医療依存度の高い難病の利用者には、訪問看護が大切なライフラインとなる

難病の方が在宅生活を送るために必要となる訪問看護サービス、つまり医療的な処置には以下のようなものがあります。

  • 中心静脈栄養(IVH)
  • 人工呼吸器
  • 人工肛門
  • 膀胱留置カテーテル
  • 経管栄養
  • 点滴、静脈注射
  • 酸素療法
  • 麻薬での疼痛管理

難病のご利用者さまが在宅で生活をするためには、こうした高度な医療処置が必要とされています。そのため、訪問看護の利用ニーズが高くなっています。つまり、難病を抱えながら在宅生活をされている方にとっては、訪問看護がライフラインの一つだということが言えます。

2. 難病の利用者は医療保険と介護保険どちらが適応されるのか

訪問看護ステーションでは、難病の方に対しても訪問看護サービスを提供していることはここまでお伝えした通りです。そこで、よく問題となるのが医療保険と介護保険のどちらが適応されるのかということです。

詳しい制度を知らないと迷ってしまうかもしれませんが、実はそれほど難しいことではありませんので、順番にご紹介します。

2-1. 難病とは

まずは、難病について正しく理解するために、その定義を確認してみましょう。

  1.  原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病(例:ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス)
  2. 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病(例:小児がん、小児慢性腎炎、ネフローゼ、小児ぜんそく、進行性筋ジストロフィー、腎不全(人工透析対象者)、小児異常行動、重症心身障害児)

引用:厚生省「難病対策要綱」(S47年)

キーワードを抜き出すと、難病とは「原因不明」「治療方法未確立」「慢性の経過」を特徴とする疾患になります。

また、平成28年の厚生労働省の資料では、次のように定義されています。

  • 発病の機構が明らかでなく
  • 治療方法が確立していない
  • 希少な疾病であって
  • 長期の療養を必要とするもの

引用:厚生労働省資料

2-2. 医療保険と介護保険の決め方

では、こうした難病の方が訪問看護を利用する際には、医療保険と介護保険のどちらが適応になるのでしょうか。

結論から言えば、難病を基準に選ばれることはなく、医療保険の場合もあれば、介護保険の場合もあるのです。

まず、前提として次のことを確認して下さい。

介護保険の給付は医療保険の給付に優先される。

つまり、介護保険被保険者(要介護もしくは要支援認定を受けた方)の場合には、難病の方であっても基本的には介護保険の適応になるということです。

しかし、次のような場合には、医療保険を利用することになります。

  • 介護保険の被保険者とならない方
  • 「厚生労働大臣が定める疾患等」に該当する方
  • 「特別訪問看護指示書」がある方

ここで、医療保険なのか介護保険なのかわからなくなる理由のひとつに、「厚生労働大臣が定める疾患等」の中に、指定難病と重複する疾患があることが考えられます。例えば、パーキンソン病やALSなどです。

そのため、医療保険か介護保険課を見分けるためには、難病の有無は別として考えるといいでしょう。具体的には、以下の記事を確認していただくと、ステップバイステップで判断できるようになっています。

訪問看護を医療保険で利用できる対象者と疾患をわかりやすくご紹介

2017.10.19

3. 訪問看護を利用する難病の方が医療費助成を受けるには?

指定難病(330疾患)の診断を受けている場合には、医療費助成を受けることができる場合があります。その詳細をご紹介します。

3-1. 特定医療費助成制度とは

平成27年1月1日から始まった、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に基づく医療費助成制度です。

3-2. 対象となる難病

指定難病(330疾患)の診断を受けており、疾患ごとに設けられている認定基準を満たしている方が対象となります。難病の診断だけでは助成対象とはなりません。

ただし、認定基準を満たさなくても助成制度を利用することがきる場合があります。

支給認定申請をした月より前(12ヶ月以内)に、以下に該当する場合。

  • 医療保険の自己負3割の方・・・医療費自己負担額が10,000円を超える月が3ヶ月以上ある
  • 医療保険の自己負2割の方・・・医療費自己負担額が6,670円を超える月が3ヶ月以上ある
  • 医療保険の自己負1割の方・・・医療費自己負担額が3,330円を超える月が3ヶ月以上ある

3-3. 訪問看護も助成対象となる

訪問看護の利用に関しても助成対象となります。これは、医療保険と介護保険の区別はありませんので、介護保険で訪問看護を利用している場合でも対象となります。

ただし、指定医療機関に登録されている訪問看護ステーションを利用している場合に限りますので注意しましょう。

3-4. 保健所が支給認定の窓口

特定医療費助成制度に関しては、お住いの地域の保健所が窓口になります。わからないことがあれば問い合わせてみましょう。

4. 「訪問看護と難病」まとめ

近年、訪問看護の利用者は医療依存度の高い方が増えています。その中には、難病の方も多くいらっしゃいます。

ただ、様々な制度が複雑に絡み合っているため利用する際には注意が必要です。医療保険もしくは介護保険のどちらを利用するのか、どうすれば助成制度を受けることができるのかといったことを正しく確認してください。

また、以下の記事にも目を通していただくと、近年の訪問看護利用者の特徴がよく分かりますので、ぜひ参考にしてください。

よくわかる訪問看護!利用者の7つの特徴を図解で紹介

2017.11.02