在宅酸素療法に対する訪問看護Q&A

在宅酸素療法とはどのようなものなのでしょうか?また、在宅酸素療法を行なっている患者さまに対して、訪問看護師が支援する目的や効果にはどのようなものがあるのでしょうか?

今回は、こうした疑問を解消するために、、在宅酸素療法に対する訪問看護師の役割を中心にお伝えしていきます。

1. 在宅酸素療法とは

在宅酸素療法(home oxygen therapy)とは、通称HOT(ホット)と呼ばれ、酸素ボンベなどの酸素供給装置をレンタルできるシステムがあります。1985年(昭和60年)に健康保険の適応となり、慢性呼吸不全の方が長期の入院から在宅生活へ復帰できるようになりました。

1-1. 在宅酸素療法の患者数

現在はHOTの適応範囲が広がり、呼吸器疾患だけではなく、慢性心不全などの循環器疾患でも利用されています。

2014年の時点では16万人以上が在宅酸素療法を受けていることがわかっています。HOTが保険適応になった1985年には2,000人、慢性心不全にも適応となった2004年には約13万人となっており、年々患者数が増加していることがわかります。

1-2. 在宅酸素療法を行なっている疾患

在宅呼吸ケア白書2010によると、在宅酸素療法を行なっている疾患別の内訳は以下の通りとなり、7割が呼吸器疾患となっています。

・上位3疾患

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)(45%)
  • 肺結核後遺症(12%)
  • 肺線維症、間質性肺炎、じん肺、膠原病など(18%)

・その他の疾患

  • 肺がん
  • びまん性汎細気管支炎
  • 肺血管原性肺高血圧症
  • 肺血栓塞栓症
  • 神経筋疾患
  • 慢性心不全によるチェーンストークス呼吸
  • 先天性心疾患

1-3. 在宅酸素療法の効果

在宅酸素療法の効果は、以下のように言われています。

  • ・低酸素血症の改善
  • ・生存率の改善
  • ・運動耐容能の改善
  • ・入院回数の軽減(急性増悪の減少)
  • ・QOLの改善

引用:帝人

実際に在宅酸素療法受けている患者さまが感じている効果としては、

  • 呼吸困難や息切れが楽になった
  • 外出できるようになった
  • 入院が減った
  • 喘鳴が少なくなった
  • 気分がよくなり活力が出てきた
  • 食欲が出てきた
  • 頭の重い感じが軽くなった

引用:在宅呼吸ケア白書2010

こうした意見が聞かれています。

2. 在宅酸素療法に対する訪問看護の役割と必要性

ここまで在宅酸素療法の概要をお伝えしましたが、訪問看護師にはどんな役割があるのでしょうか。先にご紹介した在宅酸素療法の効果を得るための支援はもちろんですが、次のようなことも挙げられます。

  • 患者、家族の治療法に対する正しい理解を助ける
  • 機器の使い方の指導や保守管理
  • 自己管理を促進する
  • 使用状況、生活状況、治療効果をアセスメントする
  • 緊急時、トラブルへの対応
  • 入退院や在宅復帰時の連携を支援

このように、身体的な看護支援だけではなく、生活を支援したり、病院や地域との連携をとる役割があります。

在宅呼吸ケア白書2010では、周囲の理解や機械の使い方やトラブルに対する不安や不満が挙げられています。

たとえ入院中に在宅酸素療法の指導を受けていたとしても、やはり在宅へ戻ると予想外のトラブルやわからないことが出てきます。しかし、相談できる場所や指導できる人がいなければ、いつまでもその不安は改善されません。

訪問看護を利用していれば、機器のトラブルだけではなく、病気に対する不安を解消したり、身体症状やADLの変化、改善を素早くアセスメントして、治療効果も高めることができます。

年々在宅酸素を利用している方が増えていることを考えると、今後ますます訪問看護師が必要となるでしょう。

3. 訪問看護を利用している在宅酸素療法患者の現状

それでは、訪問看護を利用している在宅酸素療法患者さまはどれほどいるのでしょうか?その指標として、特別管理加算というものがあります。

3-1. 特別管理加算とは?

これは、医療的な管理が必要な方に対して訪問看護を実施する場合に加算できるものです。その中で、特別管理加算Ⅱには在宅酸素療法指導管理が含まれています。

つまり、特別管理加算が算定されている件数を見れば、在宅酸素療法を行なっている患者さまの数も見当がつくということです。

3-2. 在宅酸素療法を行う利用者さまは年々増加

厚生労働省の資料から確認してみましょう。

出典:厚生労働省

棒グラフに注目してください。これが特別管理加算の算定数になります。ご覧になってわかる通り、年々算定数は増加しています。医療的な管理が必要な方の訪問看護利用数が増えているということです。

この中には、在宅酸素療法指導管理が含まれていますので、訪問看護を利用している在宅酸素療法患者さまも増加していることが予想できます。

4. 在宅酸素療法と訪問看護のまとめ

在宅酸素療法を行う患者さまは年々増加しています。こうした背景から、訪問看護の必要性も高まっています。

在宅酸素療法を行うためには機器の管理だけではなく、治療効果や病状の確認、アセスメントが必要です。また、患者さまやご家族さまの支援も重要です。

その役割を担うのが訪問看護師です。

在宅酸素療法を適切に行い、ご利用者さまやご家族さまの不安や苦痛を取り除くためにも、今後ますます訪問看護師の必要性が高まるでしょう。