訪問看護の歴史と今後も高まる訪問看護師のニーズ

訪問看護の始まりは、今からおよそ30年前。まだまだ歴史の浅い分野です。地域によっては訪問看護に対する認識がなかったり、正しく理解されていないことがあるのも事実です。そのため、訪問看護師には関心があるけど、今後も安心して働くことができるのかと不安に感じているのではないでしょうか。

しかし、訪問看護の歴史と今後の動向からわかることは、これからますますニーズが高まり、それとともに訪問看護を支える制度も整備されていくということです。

今回はその詳細についてわかりやすくお伝えしますので、ぜひ訪問看護師として1歩踏み出すための参考にしてください。

1. よくわかる訪問看護の歴史年表

■1983年(昭和58年):訪問看護のはじまり

この年に施工された「老人保健法」によって、初めて訪問看護が法的に成立しました。

これまでにも、各自治体(保健所)などから寝たきりの高齢者宅への訪問が福祉事業として行われていましたが、老人保健法によって「訪問指導」という位置付けになりました。また、一部の医療機関で行われていた訪問看護については、診療報酬が算定されるようにありました。つまり、看護師の業務の中に、訪問看護業務が認められたということになります。

しかし、訪問看護を行う訪問看護師も自治体や医療機関はごくわずかであり、利用ニーズを満たすにはほど遠いものでした。

 

■1986年(昭和61年):訪問看護ステーションの先駆け誕生

訪問看護制度がなく訪問看護が独立したものとされていない時代(病院看護師の業務の一つとして考えられていた)から、医療機関に限らない訪問看護サービスの提供が必要だと考えていた看護師たちがいます。

その一人である村松静子さんたちが、この年に「在宅看護研究センター」を設立しました。いわば、現在の訪問看護ステーションの先駆け的な存在です。まだ民間での訪問看護が認められていなかったため、自費での訪問看護サービスを提供が始まりました。

 

■1992年(平成4年):老人訪問看護ステーションのはじまり

在宅看護研究センターの設立を受け、医療機関以外の民間からの訪問看護が必要だという意識が高まりました。こうした流れを受け、1992年に「老人保健法」の一部改正が行われ、65歳以上の高齢者を対象とした老人訪問看護制度(指定老人訪問看護制度)が設立、これが訪問看護制度の始まりです。これにより老人訪問看護ステーションが誕生しました。

 

■1994年(平成6年):訪問看護対象者の拡大

この年に「健康保険法」と「医療法」の改正が行われ、「指定訪問看護制度」ができました。これにより、老人保険法による高齢者のみを対象としていた訪問看護が、健康保険によって全ての方が対象となったのです。

 

■2000年(平成12年):介護保険による訪問看護のはじまり

この年に施行された「介護保険法」によって、これまで医療保険に加えて、介護保険による訪問看護が始まりました。ここから訪問看護に対する認識も広く知れ渡り、訪問看護ステーションの設立が年々増加しました。

 

. 2025年問題」とは?訪問看護師のニーズが高まる理由

訪問看護の歴史を見てわかることを一言で表すと、「在宅生活をしている患者、利用者のニーズに応えてきた」ということです。つまり、これまでのおよそ30年間に渡り、訪問看護が必要とされてきたということです。

その理由の一つに、高齢化問題があります。「2025年問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この年には、人口の5%以上を占める団塊の世代の全員が75歳以上の後期高齢者になるのです。これにより、高齢化率が30%を超えます。

さらに、少子化、核家族化、在院日数の低下などにより、地域で暮らす高齢者を支える資源やマンパワーの不足が問題視されています。

また、近年、高度な医療処置(例えば人工呼吸器管理など)が必要な方が訪問看護を利用されるケースが増えています。訪問看護の歴史を振り返ると、寝たきり老人への訪問が始まりですが、現在は医療行為が必要な利用者まで幅広く必要とされてきているのです。

こうした日本が抱えている問題、課題に対して「訪問看護アクションプラン2025」が2015年に策定されました。これによると、2025年までに訪問看護師が15万人必要とされています。しかし、2016年時点で5万人(常勤換算)にも満たない状態です。

訪問看護の歴史は、まだわずか30年ほどですが、日本の社会的な背景を考えると、今後ますます訪問看護師が必要とされ、医療、介護の中心となっていくことが予測できます。

3. 「訪問看護の歴史」まとめ

訪問看護の歴史を見てわかることは、患者、利用者のニーズに合わせて成長してきたということです。

寝たきり老人が社会問題となり、これを支えるために老人訪問看護ステーションが始まりました。その後、高齢者以外にも必要だとわかり指定訪問看護制度の設立により、全ての方が対象となりました。さらに、その後の介護保険では、地域医療、在宅医療における訪問看護の役割が重要となり、多くの訪問看護ステーションが設立されました。

そして、この先に日本が抱える超高齢化問題によるニーズの増大に応じるべく、訪問看護師の確保が急務となっています。つまり、自宅で安心した生活を送るためには、訪問看護がなくてはならない重要な役割を担っているのです。

ぜひ今回の記事を参考にしていただき、ますます訪問看護に関心を持っていただければ嬉しく思います。