高齢者の生きがいを支える在宅医療や訪問看護はできないだろうか?

From:名古屋市緑区 つなげる訪問看護ステーションより

 
前回の記事を書いてから色々と考えてみました。

 
多くの高齢者さまは、生きがいを見失っています。だから、生きている意味がわからないと口に出される方もいらっしゃいます。

 
でも、世の中には幾つになっても生きがいを感じながら毎日を過ごしている方がいます。前回紹介した92歳になる料理研究家の鈴木さんもその1人です。

 
私たちが携わる在宅医療においても、この方のように生きがいを感じながら毎日過ごしていただくためにできることはないのでしょうか。

確かに、在宅医療や訪問看護のレベルも上がっています。医療依存度の高い方も増え、在宅での医療レベルは驚くほど進歩しています。

 
ただ、その先にあるものを見逃しているんじゃないかと思いました。在宅で高度な医療が受けられることは、誰もが安心して地域で暮らすためには重要です。

でも、それだけでいいのかと思うんです。
 
以前にもご紹介しましたが、高度な医療を手放してでも、好きなことをするために離島に暮らす方もいらっしゃいます。

 
「医療と生きがいをつなぐ方法」

 
こう言うとなんだかすごく難しいことのようですが、もしかしたら意外と簡単なのかもしれないなと思いました。もっと深く、その方のことを知ることができれば、生きがいを持った在宅生活が送れるんじゃないかと思うんです。

例えば、やり残したことはないか、やりたいと思っていたけど諦めたことはないかを聞いてみてもいいのかもしれません。ただ、そんなことを聞いても、

・歳だから、、、
・病気だから、、、
・足腰が弱ったから、、、

と、おっしゃられるかもしれません。というか、実際にそう言われることも多いです。ただ、それはその方の知っている常識の中での考えだと思うんです。

つまり、在宅医療はチームで成り立つものなので、携わる人間は数多くいます。それだけの人数がいれば、無理だと思っていたようなこともできるようにする方法が見つかるんじゃないでしょうか。

例えば、ハワイに旅行に生きたいと思っていたけど、諦めていた方がいたとします。確かに、飛行機に乗って海外旅行をすると考えれば、諦めても仕方ないかもしれません。

でも、もしかしたら、チームの中には大の旅行好きな方がいて、国内にハワイの景色とそっくりな場所があることを知っているかもしれません。海外は無理でも、国内ならいけるかもしれません。

そうなれば、どうすればそこまで移動することができるのかと、さらに深く考えることができます。飛行機はどうやっても無理だと思っていたかもしれませんが、国内なら可能性がありますよね。
 
でも、こんな風に言うと、「ハワイに行きたいといっているのに、国内で満足してくれるの?」と思われるかもしれません。確かにそうですね。いくら形式が似ていても、ハワイと日本では全く同じではありませんよね。
 
でも、もっとその方のことを知ることができれば、その問題も解消できると思います。
 
そもそも、なぜハワイに行きたかったのでしょうか。もしかしたら、新婚旅行で1度だけ行ったハワイが忘れられないのかもしれません。では、なんで忘れられないのでしょうか。ハワイだったからでしょうか。それもあるとは思いますが、それ以上に「妻と2人の旅行」だったからかもしれません。
 
新婚旅行以来、妻と2人で旅行することができなかった、もう一度、あの新婚旅行の時のような経験がしたいのかもしれないですよね。
 
つまり、「ハワイ」よりも「妻と2人の時間」が大切なのかもしれないです。ご本人ももしかしたら気づいていないかもしれませんが、その方のことを知ろうすれば、こうした心の声が聞こえてくるかもしれません。
 
もしそうなれば、「旅行」は重要ではないかもしれませんよね。妻と2人の時間が作れれば、自宅だっていいのかもしれません。
 
「安心して自宅で妻とゆっくり2人で食事をとる」
 
もしかしたら、これが生きがいになるかもしれないですよね。そうなれば、できることがもっと増えると思います。私たちの出番です。
 
嚥下障害があれば、食べやすい食事を徹底的に試してみる。
座っているのが辛いのなら、楽な姿勢を徹底的に調べる。
薬で口がまずいのなら、薬が変更できないか主治医に相談してみる。
妻が介護と家事で時間に余裕がないのであれば、ヘルパーの利用を増やしてみる。
自宅の食卓を、新婚旅行の時のテーブルのようにアレンジしてみる。
 
きっと、様々な可能性が見えてきますよね。今回記事にしている内容は、完全にフィクションです。でも、こうやって考えているだけでワクワクしてきます。
 
その方のことを深く知って、私たちがワクワクしながら接していたら、生きがいを失っていた方も、
 
「とりあえずやってみるか」
 
と、思っていただけるかもしれませんよね。
 
在宅医療や訪問看護は暗い話ばかりが目立ちます。でも、こんなにワクワクできる仕事なんですね。そして、それが私たちの生きがいでもあり、やりがいになるんじゃないでしょうか。