地域医療で大切なこと−まだ死ぬわけにはいかない−

From:名古屋市緑区 つなげる訪問看護ステーションより

 
92歳で料理教室を開いているなんて信じられますか?私にはとても想像できません。

 
この方は日本料理研究家の鈴木登紀子さんです。過去にはNHKの料理番組にも出演されていました。今も現役で料理教室を開かれています。

 
そんなパワフルなお方ですが、ある時、心筋梗塞の発作が起きました。92歳というお歳を考えれば、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクは高いと思います。

 
在宅医療に携わり、たくさんの高齢者さまと関わる中でよく聞く言葉があります。

 
それは、

 
・こんなに長く生きるはずじゃなかった
・やはくコロッと逝きたい
・生きていてもみんなに迷惑をかけるだけ
・もう向こう(死)の方がちかい
・早く死にたい

 
こういった言葉です。今までは、こうした言葉を聞いて、高齢者の方はみんなこうした思いなんだなぁと思っていました。

 
ただ、先ほど紹介した鈴木さんは違いました。心筋梗塞の発作が起きた時は、死も覚悟したそうです。でも、その後に口にした言葉は、

 
「このまま死ぬわけにはいかない!」

 
こう叫んでいたそうです。

 
今までお会いした高齢者の方とは正反対の言葉です。では、なぜこのような言葉が出たのでしょうか。それは、2日後に料理教室の予定があったからです。だから、死ぬわけにはいかないと叫んでいたそうです。

 
驚きですよね。では、この鈴木さんと、私がこれまでお会いしてきたような高齢者さまとの違いは一体なんなのでしょうか。

 
なかなか一言で表すのは難しいですが、

 
「生きがい」
 
ではないかなと感じました。

 
鈴木さんは、幾つになっても料理教室を開いて料理を教えたり、生徒さんとの関わりに生きがいを感じていたんじゃないかと思います。そこに年齢は関係ないんですね。

 
一方で、多くの高齢者さまは、生きていても意味がないといった言葉を口にされます。

 
・生きていても意味がない
・生きていても何もできない
・生きていても楽しみがない
・生きていても迷惑をかけるだけ
・生きていても必要とされない

 
そんな思いがあるんではないかと思います。そんな感情を持っていたら、生きがいなんて感じられなくても当然ですよね。

 
でも、こうした高齢者さまが地域にはたくさんいらっしゃいます。(もちろん、鈴木さんのような方もいらっしゃいます。)

 
そうした方に、私たち在宅医療に携わるものにできることはないのでしょうか。きっと、無限の可能性があると思います。が、うまく言葉にできません。。

 
少し考えてみようと思います。。